波佐見焼ができるまで

2023.10.10読み物

波佐見焼きは、江戸時代から400年続く伝統工芸です。
長崎県東彼杵郡波佐見町で生産される焼き物の総称で、江戸時代から大衆向けの日用雑器を多く生産してきました。当時は高価だった磁器食器の量産に成功し庶民の器にした歴史があります。波佐見焼という名称が生まれたのは比較的最近で、かつては波佐見産の焼き物も有田焼とされてきました。
波佐見焼ならではの伝統的なスタイルというものは無く、使う土も釉薬もデザインも様々です。現在でも国内の日常食器の20%は波佐見町で生産されていて、時代のニーズに合わせたものづくりをしています。

波佐見焼ができるまで
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長崎県東彼杵郡波佐見町(ながさきけんひがしそのぎぐんはさみちょう) 波佐見町は総面積約56㎢、人口約1万5000人の町で、人口の約3割が焼き物に関する仕事に携わっている焼き物の町です。
効率化を重視してきた産地の歴史があり、陶土屋、生地屋、型屋、窯元など各工程ごとに会社が分かれる“分業制”で陶磁器の生産を行っています。

01 陶土屋(とうどや)さん

土づくり

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波佐見焼のほとんどは、「磁器 (じき)」という種類の土が使われているよ。

「磁器」の原料は熊本県の天草でほってきた「陶石(とうせき)」という白い石。焼いたらガラスみたいに固くなる「磁器」専用の石なんだ。

やきものを焼いた時にB品が出ないように、大きな陶石の砂や茶色い岩が混じった部分を手作業(大変!)で削っていって、白い部分だけを残しているよ。

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「スタンパー」と呼ばれるとても大ーきな機械で餅つきみたいに石を突いて砕いていくよ。
15時間ぐらいかけて小麦粉みたいに細かくしていくんだ。

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水とねり合わせてやわらかい粘土の棒に加工。
窯元さんが持ってる機械に合わせて、粘土の円柱の直径が選べるようになってるよ。

02 型屋さん

1.原型作り

型屋さんでは同じ形のやきものをたくさん生産するために、石膏(せっこう)の粉を使って「型」を作ってるよ。
波佐見焼は”ロクロ”や”たたら”とか手作りもあるけど、ほとんどこの「型」を使って作ってるんだー。

「型」を作るとき、一番最初に必要なのが「型」を作るための元になる「原型」。

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石膏(せっこう)を削って、カップの原型(逆さだよ)をつくっているところ。

下の台がくるくる回転していて、道具をあてて少しずつ削ってるよ。
手がぶれないように慎重に慎重に…。

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今までに作った、いろんな形の原型がいっぱい!
お皿や花瓶、鉢もあるね。難しい形も職人さんが手で削って作ってるんだね。

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これは、マグカップやコーヒーカップの”ハンドル”だけの原型。ハンドルだけでもこんなに種類があるなんて!

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原型師さんの工房には、形の参考にあつめたオブジェがずらり。見てるだけで楽しいね。

03 型屋さん

2. 使用型作り

型屋さんでは原型を使って、たくさんの型を作っているよ。
同じ形のやきものをたくさん生産する為に使う型だから「使用型」って呼ばれてる。

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複雑な形のやきものは、一つの型を分解して作らなきゃいけないんだ。
全部の型がしっかり合うように作るには熟練の技が不可欠。

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型屋さんの色々な道具。測って削って計って削って慎重に、丁寧に。

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04 生地屋さん

焼成前の生地作り

使用型を使って、生地職人さんがやきものの「 生地 」を作るよ。

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これは、鋳込み成型(いこみせいけい)という作りかた。
ドロドロの土を使用型に流し込んで作ってるんだよ。なんだかおいしそうだね。

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出来立ての生地は水分があってふにゃふにゃの状態。
生地がやわらかい内に、余分な土を削ったり、穴を開けたりするよ。

その後、皿板(さらいた)っていう板の上に並べてしっかり乾燥。

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生地が乾いたら、食器の裏側やふちを”カンナ”で削ったりするよ。

とがってあぶない角を丸くしたり、形をシャープにしてる。
ひと手間かけたらすごくかっこよくなるんだ。

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それから表面や角がきれいになるように、水をつけた(こだわりの)スポンジでごしごし。

ハンドルの裏側みたいにせまい部分や細かい部分は、生地屋さん特製の小さなスポンジを使って、ひとつずつ丁寧に拭いてくれているよ。

05 窯元さん

1. 生地の素焼き

生地ができたら「窯元さん」へー。

やわらかい生地はいったん窯に入れて、900度で8時間ぐらい焼くよ。
これを「素焼き(すやき)」って言って、素焼きした生地の事は「素焼き生地 ( すやききじ )」って呼んでるよ!

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焼いた生地は水分がなくなってカラカラ。
固くて丈夫になるから、運ぶ、重ねる、絵を描く、釉薬をかける…とかいろんな作業がやりやすくなるんだ。

06 窯元さん

2. 下絵つけ

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素焼き生地の上に、焼いたら色が変わるやきもの用の特別な絵の具で絵を描いているところ。

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やきもの用の絵具の中でも呉須 (ごす) 絵具が代表的で、焼くと青くなるよ。
肌色のそばちょこが焼く前で、白いそばちょこが焼いた後!ずいぶん小さくなってるし、色が全然違う。

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下絵具は青だけでもたくさんの種類があるから、欲しい色を絵具の職人さんに言って作ってもらってるんだ。

07 窯元さん

3. 釉薬(ゆうやく)がけ

「釉薬がけ」は、素焼き生地の表面にかけるガラスのコーティングだよ。
やきものを丈夫にしたり、ツヤを出したり、色をつけたりする為のもの。

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08 窯元さん

4. 本窯焼成

釉薬をかけたやきものを1250~1300度の高温で焼くことを「ほんがま」って言うよ。

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焼く前のマグカップ。

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焼いた後のマグカップ。表面がつるつるピカピカになったね。
高温で焼くと釉薬が溶けてガラス質になったからだよ。

やきものの生地もすごく固くなるし、水がしみこまなくなったり、汚れもつきにくくなるんだよ。

09 上絵屋(うわえや)さん

上絵つけ・転写貼り

本窯で焼いた後のやきものの上に、750~800度で溶けるやきもの用の絵の具で絵を描く事を「上絵付」って言うよ。

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筆で直接描いたり

筆で直接描いたり

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「 転写 ( てんしゃ )」っていうやきもの用のシールを貼ったり。

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カラフルな色やキラキラした色、上絵の具はいろんな色を出せるんだよ。

10 商社さん

検品・梱包・発送

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窯元さんと商社さんそれぞれで、完成したやきものに割れたところや、キズがあったりしないか、ひとつひとつ丁寧にチェックしているよ。

手に持ってる木の棒でやきものをコンコンと叩いて、割れてないか音で確認するんだ。

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検査を通った商品は割れないように包まれて商社さん(マルヒロ)から発送。

How HASAMI ceramics is made?

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