#オフィス飯
衞藤
おもしろいですね、急に始まっちゃった。
宮
若い人も興味はあるけど、まだ食器までは手が出せない、みたいなのはありますよね。
haru.
食器って一回買ったらなかなか買い替えないから、そう考えると新しいものを買うハードルがちょっと高い気がする。一緒に暮らしてる人の趣味もあるし、作家さんとの接点ゼロのところから、買うのも…どうせ買うなら「コレだ!」って思えるような理由が欲しくなっちゃいますね。
衞藤
手元に置くなら、折角なら、なにかって思うんですね。
haru.
友人の家に行ったときにいいなと思ったとか、そういうちょっとしたきっかけでもあるといいのかなと思います。だから、この連載を見て、この人たちはこういう食器を使うんだ、使いやすそうだなとかそう思ってもらえるきっかけになればいいな。
宮
器ってどこで選んだらいいのかわからないみたいなの、正直あるかも。「どこからはじめればいい?」って思っちゃう。陶器市とか行くけど、どのサイズのお皿がいくつあればいいんだろう、とか。
衞藤
お二人はこれまで食器を買うとき、どんなきっかけがありましたか?
haru.
私はパートナーのお知り合いが作家さんだったので、2人で展示会に行って買いました。一人暮らしのときは、一旦無印良品とかIKEAで揃えていましたね。まだ食器にはこだわれなかったな。
衞藤
私も最初はそうでした。今は知っている作家さんであったり、制作背景に惹かれて購入することが多いです。
宮
キッチン用品ってお皿以外も、「一度買ったらなかなか無くならないからね」って母に言われたことがあって。ざるを買うときに、あなたが選ぶならどれでもいいけど、ずっと使うものだよって。
haru.
なかなか捨てられないもんね、ざるもお皿も。
宮
そう、簡単に無くなるものではないし。
お皿も割れたらショック、という認知が人類全員レベルであるくらい大事にされるアイテムよね。
衞藤
落としたりぶつけたりすると割れちゃう。脆いじゃないですか。仕事柄、食器を買い集めてるのですが「どうしてこんなに壊れやすくて脆いものを集めてるのだろう?」って思うときがあります。そういうものを自分の手元に置くことをすごく考えますよね。
熊本の震災があった時に、私はたまたまオーストラリアにいたんですが、周りの人が被災して、食器が全部割れちゃったって聞いて。それをきっかけにIKEAの量産品に変えたっていう人もいて。
haru.
地震がある国だから、諦めてることって案外多そう。津波の被害もそうだけど、所有することへの抵抗感とか恐怖ってある気がする。災害について考えることが、日本人のベースにあるよね。
宮
家でも同じこと思う。実は最近実家を建て替えるか、って話が上がったんだけど、地震以外にも災害が増えてるから、どうしようかって。
衞藤
今、会社がある場所は大きな地震が起きたことはないんですけど、もし地震が起きたら多くの焼き物は崩れて、産業も大きくダメージを受けると思います。
宮
今回連載のお話をもらって、マルヒロのカタログを見ていたんですがやっぱり食器って素敵なものだなあってすごく思いました。
衞藤
ありがとうございます!
宮
あと、撮影で使用するお皿を選ぶときに、自分が今まで見てきた食卓、使ってきたお皿にも影響されてるんだなあって思って。友達にも相談したんですけど、やっぱり家族の意見も気になって聞いたんです。日常で使うならこういうお皿がいいんじゃない?って話してる中で、見てると欲しくなっちゃうね〜と言いつつ、「好きなものはもう買ったし、私は先が長くないので、もう買いません。」って母に言われて、がーーんってなりました。でも、人が一度所有したら長く存在するもの、っていう共通認識があるからこそですよね。
街を歩いてると、引越し前なのか、断捨離なのか、食器が家の前に並んでて「ご自由にお取りください」みたいなことが紙に書かれていて、譲り先があることとかもすごくいいなって思ったりします。衞藤さんから見た食器、マルヒロの魅力ってなんですか?
衞藤
食器の魅力…そうですね。マルヒロの魅力で言ったら、食器をずっとやってきていますが、波佐見焼から派生していろんなところに繋がってて、食器にとどまらず予期せぬところにアプローチできることが魅力かなと思います。アーティストとコラボして作品を一緒に作ったり、2021年には私設公園「HIROPPA」をオープンしました。「焼き物屋さんが公園!?」と言われることが多いのですが、人や文化が集まる場所として必要な場所だと思ってます。
宮
波佐見焼はルールがないって聞きました!
衞藤
ないです! 波佐見焼はルールがなくて。昔は白磁の上に呉須で絵付けしたものとかが多かったり、波佐見焼といったら「くらわんか碗」や「コンプラ瓶」という特徴的なアイテムで波佐見焼が認知されていました。現代では技法やアイテムに捉われず、それぞれの窯元や商社が得意とするものを作っています。波佐見焼は自由なんです。
haru.
私は流派とかも勝手に気にしちゃう。この組み合わせはしていいのかな、とか。使う人の自由だとも思うけど、「これとこれ?」みたいに思われないかなとか(笑)。
宮
あ、でもわかる。センスが出るから先延ばしに慎重になってた気もする。長く使うものだからというのもあるけど。
マルヒロのカタログは、料理とか使い方まで提案してくれていて、想像しやすい。
最近知り合いのお家に遊びに行ったときに、いろんな小皿にお料理が盛られていてとても素敵で、私も小皿のプロになりたいなと思った(笑)。
衞藤
人の家で出てきたお皿とかって、これどこで作ってるやつ?作家さん誰ですか?とか会話になるのもいいですよね。
haru.
たいてい何かしらのエピソードがありますもんね。
宮
一度気に入ったら、同じところで買いたしていけることも焼き物の良さだなと思います。マルヒロさんはそれが気楽にできそう。このシリーズが好き、このサイズが好きって選んでいるうちに、好みもわかってくるというか。
衞藤
そうなんです、気に入ったお皿を買い足してくださったり、家族が増えた、とかで子ども食器を新たに購入してくださる方もいます。
宮
カラフルなのもすっごく可愛かったです!これは自分も欲しいけど、ギフトにもすごくいいなと思いました。
衞藤
器だけじゃなくて、ラッピングもすごい凝ってるのでギフトにもおすすめです!
haru.
スタッキングできるのもいいよね、波佐見焼。
宮
作家さんの一点ものも素敵だけど、こうして気軽に重ねられるのはいいですよね。
衞藤
HASAMI SEASON01シリーズは社長が10年前に企画したものなんですけど、リサイクルショップを回っていろんなカップ買って、家にどんなカップがあったら嬉しい?って地元のおばちゃんたちに聞いて回ったりしてできたんです。そしたら収納に困ってるっていう声が多くて、収納にも困らないようにスタッキングできる食器ができたんです。
haru.
なるほど!私はルーティンが好きな人間だから、同じ型の色違いとかほしい。服を選ぶときと似ているかも。同じものが安心するっていうか。
宮
馴染みのあるものが結局使いやすいみたいなこともあるよね。
haru.
人と食事をするときはこっち、みたいに選ぶ楽しみもあるなって思う。おしゃれ着と日常着の使い分けと一緒。
衞藤
私、休日の朝食が好きで。休日の朝食用のマグと食器があるんです。それでご飯を食べると、今日はゆっくりしていいんだ、って気持ちになれる。
haru.
それ、すっごくいいですね。食器選びも日常のスイッチのオンオフになるのか、ちょっと盲点でした。
衞藤さん、今日は来てくださりありがとうございました!またいつでも遊びに来てください〜!
今回のゲスト
衞藤涼花|Suzuka Eto
マルヒロのオンラインショップ、PRESS担当。オンラインショップの運営・企画や、商品の写真撮影やコンセプトライティングなどを担当。商品企画もしており、2022年にはBARBARシリーズから「TRACE」を発表。一番聴いているPodcastは「take me high(er)」。
オフィス飯ごちそうさまでした!毎回楽しみに聴いているPodcast「take me high(er)」がきっかけでお二人と連載スタート&オフィス飯ができるとは思ってもいませんでした。
オフィス飯ではお仕事の話のほかに、たわいもない話もしたりと、近所の人の家の縁側でお話するような心地よい場でした。
レンズ豆のスープ、とてもおいしかったなぁ。。。温かくて優しい味でした。レシピを見ながら家でも作ってみたいと思います。またオフィスに遊びに行きます!
Recipe
しのぶちゃんのレンズ豆スープ
このスープ、簡単だけど美味しいです。レンズ豆って全然馴染みのないお豆でしたが、皮なしも皮ありも保存するのも調理するのも簡単なのでぜひゲットして作ってみてください。
レンズ豆に出会ったのは高校生の時。ミッション系の学校に通っていたので、毎朝礼拝の時間で先生たちの説教を聞くのが決まりでした。今でも記憶にあるのが、美術の先生しのぶちゃんの説教。(先生だけど、しのぶちゃんという愛称で親しまれていました。)毎回先生たちがそれぞれいろんな話をしてくれる中、しのぶちゃんはその日読んだ聖書箇所に出てきたスープの話をしてくれました。「ここに書いてあるスープにはレンズ豆が入っていた」としのぶちゃんが言うのです。もうどんな話だったのかは記憶が怪しいですが、とにかくどんな味のスープか気になって、母に作ってもらったのがはじまりです。これが聖書に出てくるスープなのかはわからないけど、美味しいです。ぜひお試しください。(宮)
<材料(2~3人分)>
・ベーコン 1パック
・ニンニク 1片
・玉ねぎ(小さめのものなら1個、大きいものは½)
・にんじん(小さめのものなら1個、大きいものは½)
・セロリ ½本
・レンズ豆 200g
・水 4カップくらい
・コンソメスープの素 1個
・ローリエの葉
・塩
・こしょう
・オリーブオイル
①材料の準備。野菜類は5mm-8mmくらいにサイコロ状に切る。ベーコンは1cm幅くらい。ニンニクは潰しても、みじん切りでもOK。
②こちらレンズ豆。今回は皮なしですが、皮ありはオリーブみたいな色。豆の色でスープの色も変わります。レンズ豆は、お米みたいに、調理前に水でざっと洗っておくだけでOKです。
③鍋もしくは深めのフライパンにオリーブオイルを入れて火にかけます。少し温まったら、ニンニクをベーコンを入れて炒めます。
④ニンニクを焦がさないように、ベーコンに焼き目がついて来たら、野菜を入れて炒めます。
⑤少ししんなりするまで炒める。
⑥しんなりしてきたら、水とコンソメスープの素、レンズ豆とローリエの葉を入れてます。
⑦弱めの中火で20〜30分煮込みます。アクは気になる方は取り除いてください。
⑧3煮込んで豆が柔らかくなったら、味見をして足りなければここで塩を入れてください。
⑨完成
Profile
haru. | Director・Editor
1995年生まれ。東京藝術大学在学中に、同世代のアーティスト達とインディペンデント雑誌HIGH(er) magazineを編集長として創刊。多様なブランドとのタイアップコンテンツ制作を行ったのち、2019年6月に株式会社HUGを設立。代表取締役としてコンテンツプロデュースとアーティストマネジメントの事業を展開し、新しい価値を届けるというミッションに取り組む。
Instagram:@hahaharu777
宮有里奈 | Producer・Editor・Photographer
東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。大学時代にインディペンデント雑誌「HIGH(er)magazine」のメンバーとして活動した後、株式会社HUGには創設メンバーとして参画。現在は企画立案やプロジェクトの進行管理、撮影などを行う。
Instagram:@38uia