甘酸っぱい毎日を夢見てる、シェアハウスで暮らしてる、フリーランスフォトグラファーの初老男子、なにかと苦じょっぱくなりがちです。なまえはかおたんです。
お盆も過ぎて夜には虫の音も聞こえるようになり、少しずつ秋の気配を感じる今日この頃。子供時間で言うと夏休みもあと少し、ラストスパートをかけて毎日を楽しんでいるに違いありません。
子供の頃はいろんなことに多感でした。嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこととにかくなんでも爆発的に感じられました。友達の家に遊びに行って初めて飲んだ砂糖の入った麦茶の味。毎日欠かさず通ったラジオ体操会場の朝のにおい。全然書いてない絵日記への焦り。子供心には毎日がスペシャルです。特に楽しいことには心がとんでもなく浮き立って、溢れた気持ちを発散させるために走り回っていた気がします。
年を重ねて感情を爆発させることも少なくなり、それは安定とも平穏とも言うのだとは思うのだけれど、持て余した感情に思わず体を動かずにはいられないくらいの昂りを今も感じたいと思う初老心に火がつきました。
そんな昂りを探す初老心にも波佐見焼のある暮らしの中に甘酸っぱい毎日を探してみたいと思います。もしかしたら、あなたの毎日も甘酸っぱくなるかもしれません。
今回は癖になる挨拶でお馴染みのHIROPPA内のcafe『OPEN-END』の会いに行けるスタッフの田島さんとご一緒させて頂きます。
OPEN-ENDのカウンターは無機質なモルタルで出来ているのに、有機的なカーブを描いたデザインがとても機能的かつ居心地の良さを提供してくれます。おしゃれなだけでなく働く人にも、お客さんにも使いやすいデザイン、こういうのめちゃくちゃagreeです。大好物です。
建物の内と外の境界線を感じさせることなく続く、丸なのか三角なのかそれとも四角なのか、些細なところにも楽しいが潜んでいる野外のカウンターも素敵です。足元は例の天草陶石が敷き詰められています。店内から永遠に続くインフィニティ陶石です。
何度も聞きたくなる癖になる挨拶、素敵で居心地の良いカウンター、白くて柔らかで思わず踏み締めたくなる陶石のフロアー。お気に入りに囲まれて過ごす時間はとってもスペシャルです。
田島さんの「こんにちは~」は凝り固まった心のスペシャルを解放する魔法のトリガーのように感じました。昂りに鈍くなった時には、たとえばそんな魔法のトリガーの力を借りるのもいいのかもしれません。
抑えきれない楽しさに奇声を上げながら走り回る子どもたちのようには振る舞えなくても、るんっと小躍りしたくなるような、内心クスりと笑えるような魔法のトリガーがそこかしこにあったならいくら鈍くても昂らずにいられるはずがありません。
田島さんは持って帰ることが出来ないので、フラッグシップストアでそんな魔法のトリガーになり得る、買って帰れるやきものを探してみました。
甘酸っぱさしか感じない、完全な魔法のトリガーを発見しました。ゆかいな食器シリーズ、「ボタニカルプレート(いちご)」です。そのまんまいちごです。
せっかくなので田島さんにopen-endのスコーンをこのやきもので召し上がっていただきました。
はい、かわいい。間違い無いです。めっちゃいちごのやきものと、スコーンを頬張る子供のような表情の田島さん。完全なマリアージュを感じます。魔法のトリガー引き放題です。昂りが爆発するのを抑えられません。
子供のようでいて、大人の魅力も感じます。
一見するとちょっとびっくりするくらいいちごで、ふざけてるのかなと思ってしまいますが、見れば見るほどなんだか品のあるやきものだなと思えてくる不思議な魅力を感じます。
果肉部分はザラザラした質感が光を乱反射させてとても表情豊かです。乗せる食べ物への探究心が深まりそうな光沢感です。
葉の部分はツルツル、茎はマットな仕上げでとても凝った作りです。なんだか美味しそうです。不思議な魅力の正体はこの細部までこだわった仕事が魅せていたのかもしれません。ふざけているようで本気のお仕事、そのうえ品がある。子供心を忘れない大人のお手本のようなやきものです。
いちごの花言葉は「先見」です。
いちご以外のボタニカルプレートもそれぞれハッとする魅力に溢れています。まるで昔のハリウッド女優のボーイッシュなボブカットのような、洗練された雰囲気のとうもろこしの皮に独立した女性の力強さを感じます。とうもろこしの花言葉は「洗練」です。
ドアの前で主人の帰りを待っていたワンちゃんのようなみかん、モフモフです。まだ見ぬワンちゃんとの生活を妄想してしまいます。みかんの花言葉は「花嫁の喜び」です。
レゲエダンサーのお尻のような魅惑的なりんご。こういう魅力が僕には足りません。りんごの花言葉は「誘惑」です。
なぜか高校の部活を思い出させるひまわり。先輩方はお元気でしょうか。ひまわりの花言葉は「憧れ」です。
どれも個性的で形もバラバラ、もちろんスタッキングもできません。でも何故か全種類揃えて食器棚に入れて置きたくなるやきものです。
自分にとってトリガーになり得ると思ったものは、たくさん集めて未来の昂りに備えたいです。
魔法のトリガーは人それぞれ違うけれど、いつでも自分の気持ちを昂らせるのを助けてくれる、そんな友人や物に囲まれて暮らせたら幸せです。
なんなら周りの人の気持ちも昂らせる、自分が魔法のトリガーになれたらいいなと思うかおたんなのでした。