特集

僕らの食器ジャーニー 井上加奈子的、食器ロマン

2022.06.24 (金)

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素敵な人の友だちもきっと素敵な人。

ゲストに次のゲストをリレー形式で紹介していただき、素敵な方々のライフスタイルを紹介していきます。

第7回は、テキスタイル・アパレルブランド「Canako Inoue」主催の井上加奈子さん(@canakoinoue)です。

HP:https://www.canakoinoue.com/

最近お引越しをされたという井上さん。住んでいる家について聞いてみました。「築50年の家をリフォームしてこの春からアトリエ兼住まいとして暮らし始めました」

「畳を外して床を張ったり、天井を抜いてロフトを作ってもらったり、大工仕事はとんち造作計画の佐橋さんが施工してくれました。ロフトは生地や什器などを置いていて梯子で登ります。

自分でも砂壁に漆喰を塗ったり、床に柿渋を塗ったり。改装作業がまだ完了していないところもありますが、気長に仕上げたいと思います」

「朝起きたら、窓を開けてなんとなく庭を眺めます。『鏡の花』というテキスタイルの端切れを継ぎ接ぎして作ったカーテンから入る朝の光が綺麗です」

井上さんの食器棚も見せていただきました。「なみなみ模様のガラスの食器棚は備え付けで、食器の形が薄ぼんやりと見えるところが気に入っています。食器の高さに合わせて棚板を自分で作り足しました」

たっぷり光が入るキッチン。すがすがしい気持ちで料理を楽しめそうです。「大きな窓に面したキッチンで、洗い場とガスコンロが2口が付いています。

実はキッチンの改装がまだ終わっておらず、シンクも手作り。シンク部分は木の脚で支えていてまだ仮設の状態です。壁にタイルを貼ろうとしていてまだマスキングテープがついています。時間ができたらタイル貼りを頑張ります」

お気に入りの食器コレクションを見せていただきました!

「自作の陶芸作品。

ずっとやってみたかった陶芸をついに始めました。近所の陶芸教室に通って勉強中。土を触るとすごく気持ちが落ち着きますし、すごく楽しい。テキスタイルと陶芸は似ているところが多いと感じます。

ろくろはまだ難しくて先生に教えてもらいながら。
お皿には鳥や花の模様を、花瓶には釉薬で格子模様を描きました。
曲面に描くのもとても楽しかったです。
最近は忙しくて行けていませんが、これからもっと花器やお皿をたくさん作りたいです」

「陶芸家の友人のものや、アンティークショップや民芸品店で購入したもの。左上から時計回りに

・antique tamiserのホーローリム皿
軽くて薄くてお料理が綺麗に見えます。落としても大丈夫なのが嬉しい。

・大中和典さんの器
山口で作陶する大中さん。きらきらとした質感がとても格好良い1枚。鮮やかなお料理をちょこっと乗せます。

・金色の花模様が入ったグラス
亡くなった祖母の家で譲り受けました。肩身のような大事なグラスです。

・人の形をしたベル
民芸品店で購入。砥部焼だそうで、リンリンと鳴ります。

・田園さんのお皿
以前モデルをしてくれた友人の作品。色合いも形も好きです。

・パンダの茶器
イベントで訪れた台湾で購入しました。

・星耕硝子さんのタンブラー
しっかりとした厚みのガラスがとても綺麗でよく眺めてます。お茶やチャイをこれで飲みます。

・石川隆児さんのワイングラス
白くてころんとした形が好きです。食卓がおしゃれになります。

・都筑明さんの青いお皿
長崎で作陶する都築さん。青い色味が大好きな一枚。

・Hannah McAndrewさんの鳥の模様の入った花器
民芸の展示会で一目惚れ。なんとも言えない鳥の模様が好きです」

Q1. 現在、何をされていますか?

テキスタイルデザイナーとして、Canako Inoueというブランドを立ち上げて活動しています。

のんびりとやわらかな視点で描く、ということを大事にしています。

全国各地のテキスタイルの工場をまわって、職人さんと相談することもあります。年に一度、新作を作って発表していて、そのほかは各地でイベントやポップアップ、お店への卸もおこなっています。

イラストレーターとしても活動中。企業や個人、お店にイラスト提供も行なっています。食べ物や動物などを水彩で描きます。

(写真:仕事の一コマ)

図案を絵の具で描いたりする日もあれば、1日中ミシンを踏んでる日もあります。デザインした生地が出来上がり、手に取る時は嬉しい瞬間。アトリエの床に広げたり、吊るしてみたり、ボディにあてて確認します。服や小物の製品が仕上がったらボディにサンプルを着せて微調整。近くで見たり、遠くから眺めたり。アトリエの中をウロウロしています。

Q2. 社会に出たばかりのころは何をしていましたか?

多摩美術大学を卒業後、アルバイトをしながら制作を続けていました。働きながら1年ほど、文化服装学院の生涯学習の授業を受けて、洋服の立体裁断や製図を勉強しました。

ミュージシャンや映像監督の友人知人に頼まれて、ミュージックビデオの衣装づくりもしていました。
なかでも、THE BED ROOM TAPEさんの「くじら feat. 奇妙礼太郎」という作品は、夕方から早朝までの撮影で大変でしたが、夜明けの風景と、染色して制作した羽織が重なるような瞬間を映像監督の林響太朗くんがおさめてくれ、とても印象深い作品です。

アルバイトをしながらの制作はとても過酷で、常に眠たくて、お風呂に入っていて溺れたことも何度かありました。美術予備校、雑貨店、アパレル商社、イラン料理店、沖縄料理屋、様々なアルバイトを経験しました。

2014年の秋にはじめて渋谷のギャラリーで展示会を行い、ブランド活動をスタート。自分のブランドを持ち、作品づくりをしていくことが小さな頃からの夢だったので、その展示会がわたしにとってのはじまりになりました。

Q3. そのときと今、どんな風に考え方が変わりましたか?

美術大学出身ということもあって、0から100までを自分の手でつくりあげなきゃと思い、寝る間を惜しんで制作していました。工場で場所を借りて、何十メートルも手作業でプリントしたり、洋服のパターンも自分で引き、縫製も自分で行っていました。

今は生産面を信頼できる職人さんや工場、パタンナーさん、縫製士さんが見つかってお願いし、全部を自分でやらないようになってクオリティもあがりました。いちばん大切なデザインの部分に向き合うことができています。

染色家の大先生、柚木沙弥郎さんの言葉で
「模様を描くにはわくわくしなくちゃ仕方ない。」と本で読んだのですが、このわくわくした嬉しい気持ちや、幸せを伝えるようなデザインをしたいなと、いますごく思っています。

Q4. 初めての一人暮らしにおすすめなマルヒロの食器はありますか?

BARBAR 空中庭園 青い花

鮮やかな瑠璃色にどんな色味を合わせようかな、とわくわくする1枚。フルーツのような鮮やかなものを載せてもいいし、サラダでも、ちょっとした炒め物でも青い色に映えますね。お客さんが来た時のお茶菓子とも合いそうです。

BARBAR TERRA プレート L

忙しいときは料理をするのも一苦労、という状況なので、このプレートにごはんとおかずとサラダとを、さっと盛るだけで絵になり、一人暮らしに重宝しそうです。マットな質感がお料理を美味しそうに見せてくれるように感じました。

Q5. とある日の食卓を見せて下さい!

朝ごはん:お湯を沸かしてまず白湯を飲みます。
だいたいご飯が多いのですが、この日は友人が持ってきてくれたパンにクリームチーズとキウイをのせていただきました。生ハムにキウイを巻いたものもおつまみで。

お豆腐には桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」をかけて食べるのにはまっています。サラダはルッコラに純胡椒という瓶詰めの胡椒の塩漬けをサラダにぱらっとしてドレッシングをかけていただきます。

昼ごはん:ご飯、鶏肉の甘酢玉ねぎ和え、鯖缶とパクチーのサラダ。

ワンプレートでささっと作れるものをお昼によく食べます。
これはおつまみの本「レシピのいらないおつまみおかず」に載っていたものです。

お湯を沸かしてチャイも飲みます。TEA PONDのセブンスパイスチャイが好きでよく飲んでいます。

夜ごはん:この日は引っ越してから初めて友人を招いてホームパーティをしました。みんなの持ち寄りと、料理上手な友人が次から次へとお料理を作ってくれて、楽しい時間でした。

私もおつまみの本を参考に、白菜のコールスローや、マグロとクレソンのサラダなどを作りました。メインは餃子で、前日に母に電話して作り方を確認しました。青紫蘇を入れてさっぱりと、薄味なのが井上家の味です。

Q6. コロナ禍の巣ごもりでハマったことはありますか?

コロナ禍になってから、編み物をはじめました。30年くらい前に母の編んだセーターのお下がりを貰って、着心地の良さとやわらかさ、軽さに驚きました。それからマフラーやセーター作りに挑戦しています。三國万里子さんの本を参考に、時間のある時は一日中、夢中になってベッドの上で編んでいます。新しい編み図を理解することは、新しい言語を習得するようなこととも似ていると感じます。
もう少し習得したらセーターなどを家族に編んでプレゼントしたいなあと思っています。

Q7. 井上さんの偏愛インテリアを教えて下さい。

家のいたるところに布が溢れています。

ポーランドのヤノフ村で織られた手織りのマットやタペストリーは、この家の宝物です。マットは玄関に、タペストリーは階段の踊り場に飾っています。人が手を繋いでいたり、動物や植物が描かれた図案は織り手の優しい気持ちが伝わってきて好きです。

イランのギャッペ絨毯。この絨毯をお店で選んだ時、お店の方に「あなたと一緒に絨毯も年を取りますから、明るい色を選んだ方が良い」と言われました。手織りならではの温かさ、図案の左右均衡ではない大らかさに癒されます。少しずつ色の変化があり、わたしと一緒に年を取ってるんだな、と思うと嬉しいです。

Holophaneのガラスの照明。神楽坂のSTOCKMANで購入しました。1920年代くらいの古いものらしいです。マットな質感と細かい切り込みがとても綺麗でお気に入り。

Davis-Lynchのミルクガラス照明を玄関に。どんぐり型の形がころんとかわいいです。こちらも神楽坂のSTOCKMANで購入しました。

Q8. 日々の暮らしに欠かせない音楽はありますか?

四六時中ラジオを聴いています。だいたいTBSラジオをきいていて、たまむすびが好きです。

音楽は寝る前に聴くことが多いです。Vashti Bunyanの「Just Another Diamond Day」と「Lookaftering」大好きなアルバムです。木漏れ日のもとで歌っているような雰囲気です。レコードも持っています。

Q9. 日々の暮らしに欠かせない香りはありますか?

コーヒーの香りが好きです。
仕事していて頭がぼんやりしてくる時はコーヒーを淹れて休憩します。
ホワイトセージの香りも好きです。

Q10. 休みの日に観たい映画を教えて下さい。

「パターソン」

パターソンという街で、バスの運転手をしながら詩を書き続ける主人公パターソンの、何か起こりそうで何も起こらない1週間。ジム・ジャームッシュ監督の静かな眼差しが好きです。

部屋中に模様を描きまくる破天荒な妻も愛おしい存在。すべてのなにか表現をする人たちへの励ましでもあるように感じています。

Q11. とある日の生活を教えて下さい。

Q12. 次のゲストを教えて下さい!

グラフィック、ジュエリーデザイナーの津田恭子さん。
最近まで台東デザイナーズビレッジというアトリエで一緒でした。心の友です。
アトリエでは、煮物やジャムやお菓子など、作ってきてくれて一緒に食べたりしていました。お料理が上手です。制作に向かう姿も、作品も大好きです。

お料理初心者でも大丈夫!井上さんにレシピを教えていただきました。

「イラン料理屋さんで少しアルバイトしていたときに、賄いでよく作ってくれたもの。美味しかったのでレシピを聞きましたが、レシピを教えるまでもないほど簡単だ、と言われて教えてくれませんでした。
見よう見まねで作っています。

イランではおやつにも作って食べるそうです。
食を通して文化を知る楽しみを、この料理や働かせてもらったことを通して知りました」

<材料>
⚫︎トマト半分
⚫︎卵2個

<調味料>
⚫︎塩、こしょう

<作り方>
1. トマトのへたを取って、適当に賽の目に切ります。
2. 卵を割り、溶き卵を作っておきます
3. フライパンにオリーブオイルをしきます
4. トマトを入れます。塩を振って、オレンジ色になるくらいまで軽く炒めます
5. 溶き卵を入れてざっくりとかき混ぜます。
6. 卵が半熟くらいになったらお皿に盛ります。こしょうを振って出来上がり。

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