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「エデンの園」にまつわる官能的なコレクション「eden」

2021.01.16 (土)

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「BARBAR」より、原型づくりで随一の技術を持つ原型師・金子哲郎氏と約250年続く有田焼の窯元・梶謙製磁社の協力を得て制作した、釉薬の濃淡による柄表現が美しい3色展開の陽刻彫りのプレートコレクション「eden」を販売開始いたします。

アダムとイブが住む「エデンの園」をめぐる物語から着想を得て作られました。平面に浮かび上がる絵柄が深みのある陰影を纏い、魅惑的な情調を生み出しています。

絵柄の中には、手にすることが禁じられている「禁断の果実」、イブに禁断の果実を食べるように唆した「蛇」、アダムとイブの裸を隠した「イチジクの葉」など、エデンの園を連想させるモチーフが多数描かれています。エデンの園の甘美で誘惑的な快楽を味わうことができるでしょう。

白昼夢(はくちゅうむ)・無花果(いちじく)・深森(しんしん)の3色展開です。

オリジナル化粧箱付きです。edenの柄の中で象徴的に描かれている「手」にフォーカスした魅惑的な少女たちの絵画が美しく、ギフトにもぴったりな上品な風合いの箱です。

文様を立体的に彫り、釉薬のたまり具合の濃淡により柄に奥行を出す「陽刻彫(ようこくぼり)」という技法を用いています。絵柄を彫っていく作業はとても繊細で、長年の経験と彫った部分に釉薬がどのように溜まるかを想像する力が求められます。

今回、細かい細工や模様が入る原型づくりで随一の技術を持つ原型師・金子哲郎さんに原型を彫っていただきました。また、焼成は250年の歴史のある有田の窯元・梶謙製磁社さんに依頼。

「eden」は歴史の中で培われてきた技術と共にあります。

原型師 金子哲郎

佐賀県西有田町に工房を構える原型師の金子哲郎(かねこてつろう)氏は、18歳で窯業に携わり今年(令和3年)で57年になります。

最初は窯元に就職して、器のデザインをしながら自分の作品を作るために独学で原型や石膏型を作っていました。

その後45歳で起業し、原型師として多くの窯元からの依頼を受け70歳を超えた今も現役で活躍しています。

現在は陶磁器に限らず鉄器など他産地の原型も作っています。

【連載】ものの出発点「原型師、金子さん」もぜひご覧ください)

経験と想像力

アウトラインだけの平面のデザインから立体化する作業は、長年培ってきた経験と想像力を頼りに行われています。

金子氏は数日でほぼ理想通りの原型を作り上げます。

(↑edenの柄を掘り起こすための原画:和文タイプ用紙に、粉末状の墨を水で溶いた液で柄を描いたもの。柄を描いた面を型に当て、用紙を擦ると墨が型につき柄が写る)

(↑原画をもとに金子さんが彫った初回の原型)

蛇の目高台

高台裏は、18世紀中頃の鉢やお皿などにみられる「蛇の目高台」という形状をイメージして作りました。

※高台裏・・・高台(器の底につけられた台)の内側のこと
※蛇の目高台・・・同心円を基調にした模様のことを蛇の目(じゃのめ)と呼ぶことから蛇の目高台と呼ばれる。

この形状は当時の焼成方法(高台内を蛇の目状に釉を剥ぎ、この剥いだ部分にチャツやハマと呼ばれる窯道具をあてて窯詰めをする)に由来しています。

現代ではこの焼成方法をせずに焼成していますが、表に描かれた蛇と裏の蛇の目模様が密かな意味合いを持ち存在しています。

梶謙製磁社

梶謙製磁社は創業250年以上、江戸時代から続く有田焼の老舗窯元です。

梶謙製磁社がある有田町黒牟田地区は江戸時代「黒牟田山」と言われており、大皿・大鉢、染付物の制作技術に長けておりその技術は他の追随を許さないものでした。

今に息づく「250年」

梶謙製磁社は、焼き物を作る傍ら、250年の間に自社で制作してきた数々の作品や、使用していた焼き物の道具を展示する美術館も運営しています。

国立博物館に所蔵されている作品の兄弟にあたる染付大皿や、江戸中期〜明治末まで使われていた木型や陶土でできた型などが展示されており、現代においてとても貴重な美術品をご覧いただけます。

梶謙製磁社が「250年」という長い歴史の中で、いかに技術に長けていたかということを、これらの展示作品から読み解くことができます。現在でもその技術は、4代目梶原謙一郎さんの手に息づいています。

倉庫に眠るガラスのような磁器

梶謙製磁社の敷地面積は広く、古い登り窯や昭和の大量生産の時代に使用していた大きな窯や倉庫には、250年の間に作られてきたその時代ごとの様々な焼き物などがあり、時代の変化を随所に感じられます。

ある時、倉庫を見せて頂いた時のこと。宝探しのような気分で過去の商品を手に取っていると、見たことのないお皿に出会いました。ガラスのような透明感のある質感と色釉とは異なる混じり気のない透き通った美しい色味、そして釉薬のたまりによって表現された柄。

そこでみた衝撃はedenの企画の軸となるインスピレーションとなりました。
「この釉薬の美しさを金子さんの彫るedenの柄で表現したら、きっと魅力的なものになるだろう」

金子さんと梶謙製磁社が頭の中でスッと結びつき、試作を依頼しました。

ガラスのように透き通る色味の秘密

梶謙製磁社の社長曰く、倉庫でみたそのガラスのような磁器は30年ほど前に中華用に制作されたものだそう。

通常の色釉の色味は顔料で絵具のように出すのに対し、この釉薬には顔料は一切入っておらず、銅や鉄、マンガンという自然の鉱物が窯の中で酸素と結合してイオン化して発色しています。

写真(写真1)は釉薬の中の銅が焼成中に窯の中を舞い支柱についたもの。
金属を多く含む釉薬のため、窯の中で金属が棚板や支柱にこびりつき、窯の資材が傷みやすいく扱いにくい釉薬でもあるそうです。

※支柱(写真2参照)・・・一度にたくさんの焼き物を窯で焼くために、窯の中のスペースを上手に活用する必要があります。その時に使用される道具の一つが支柱です。棚板と呼ばれる板に焼き物を並べ、棚のように板を重ねる時に、支柱は板と板の間を支えてくれます。

こびりついた茶色の銅の物質が釉薬の中では美しく発色することを思うと「焼き物は化学が生んだ魔法だと」思わざるを得ません。

金属の窯変による色味

edenで使用している釉薬は金属のイオン化による色味のため、顔料で発色する色釉のように様々な色が出来るわけではなく、表現できる色幅が限られています。どの色まで表現できるか、釉薬の調合を幾度となく重ねた結果、白昼夢・無花果・深森の3色が出来上がりました。

白昼夢・・・酸化鉄とクロムが混ったもので、ぼんやりとした夢見心地な昼間の空気のような、甘い誘惑の蜜のような色味です。

無花果・・・マンガンの色味。エデンの園の「禁断の果実」は実はリンゴではなく無花果だったという説があります。

深森・・・銅の色味。木々や草花が深く生い茂った森の中をイメージした妖しげな緑色です。

自然界の鉱物により発色された色味は、顔料では表現できない透き通った美しさを放ち、加えてガラス質を多く含んだ釉薬でもあるため、凹凸の柄の陰影のコントラストが美しく表現されました。

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