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波佐見焼ができるまで

2018.02.07 (水)

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長崎県東彼杵郡波佐見町(ながさきけんひがしそのぎぐんはさみちょう)

波佐見焼のほとんどは、「磁器 (じき)」という種類の土が使われているよ。

「磁器」の原料は熊本県の天草でほってきた「陶石(とうせき)」という白い石。焼いたらガラスみたいに固くなる「磁器」専用の石なんだ。

やきものを焼いた時にB品が出ないように、大きな陶石の砂や茶色い岩が混じった部分を手作業(大変!)で削っていって、白い部分だけを残しているよ。

「スタンパー」と呼ばれるとても大ーきな機械で餅つきみたいに石を突いて砕いていくよ。
15時間ぐらいかけて小麦粉みたいに細かくしていくんだ。

水とねり合わせてやわらかい粘土の棒に加工。
窯元さんが持ってる機械に合わせて、粘土の円柱の直径が選べるようになってるよ。

型屋さんでは同じ形のやきものをたくさん生産するために、石膏(せっこう)の粉を使って「型」を作ってるよ。
波佐見焼は”ロクロ”や”たたら”とか手作りもあるけど、ほとんどこの「型」を使って作ってるんだー。

「型」を作るとき、一番最初に必要なのが「型」を作るための元になる「原型」。

石膏(せっこう)を削って、カップの原型(逆さだよ)をつくっているところ。

下の台がくるくる回転していて、道具をあてて少しずつ削ってるよ。
手がぶれないように慎重に慎重に…。

今までに作った、いろんな形の原型がいっぱい!
お皿や花瓶、鉢もあるね。難しい形も職人さんが手で削って作ってるんだね。

これは、マグカップやコーヒーカップの”ハンドル”だけの原型。ハンドルだけでもこんなに種類があるなんて!

原型師さんの工房には、形の参考にあつめたオブジェがずらり。見てるだけで楽しいね。

型屋さんでは原型を使って、たくさんの型を作っているよ。
同じ形のやきものをたくさん生産する為に使う型だから「使用型」って呼ばれてる。

複雑な形のやきものは、一つの型を分解して作らなきゃいけないんだ。
全部の型がしっかり合うように作るには熟練の技が不可欠。

型屋さんの色々な道具。測って削って計って削って慎重に、丁寧に。

やきものの生産数で使用型の数が決まるよ。

多いものでは1000個くらい使用型を使う食器もあって、「型」専用の家もあるくらい!
多すぎて保管するのも、見つけるのも大変だね。

使用型を使って、生地職人さんがやきものの「 生地 」を作るよ。

これは、鋳込み成型(いこみせいけい)という作りかた。
ドロドロの土を使用型に流し込んで作ってるんだよ。なんだかおいしそうだね。

しばらく経ったら中の土を外に出すんだけど、やきものの形ごとに土を出す時間が決まっているから、毎回ストップウォッチで計ってるよ。

少し時間をおいて型を外したら生地の出来上がり〜。

出来立ての生地は水分があってふにゃふにゃの状態。
生地がやわらかい内に、余分な土を削ったり、穴を開けたりするよ。

その後、皿板(さらいた)っていう板の上に並べてしっかり乾燥。

生地が乾いたら、食器の裏側やふちを”カンナ”で削ったりするよ。

とがってあぶない角を丸くしたり、形をシャープにしてる。
ひと手間かけたらすごくかっこよくなるんだ。

それから表面や角がきれいになるように、水をつけた(こだわりの)スポンジでごしごし。

ハンドルの裏側みたいにせまい部分や細かい部分は、生地屋さん特製の小さなスポンジを使って、ひとつずつ丁寧に拭いてくれているよ。

生地ができたら「窯元さん」へー。

やわらかい生地はいったん窯に入れて、900度で8時間ぐらい焼くよ。
これを「素焼き(すやき)」って言って、素焼きした生地の事は「素焼き生地 ( すやききじ )」って呼んでるよ!

焼いた生地は水分がなくなってカラカラ。
固くて丈夫になるから、運ぶ、重ねる、絵を描く、釉薬をかける…とかいろんな作業がやりやすくなるんだ。

素焼き生地の上に、焼いたら色が変わるやきもの用の特別な絵の具で絵を描いているところ。

やきもの用の絵具の中でも呉須 (ごす) 絵具が代表的で、焼くと青くなるよ。
肌色のそばちょこが焼く前で、白いそばちょこが焼いた後!ずいぶん小さくなってるし、色が全然違う。

呉須絵具の原料。
これを細かくすりつぶして、水と混ぜて絵具にするよ。

下絵具は青だけでもたくさんの種類があるから、欲しい色を絵具の職人さんに言って作ってもらってるんだ。

「釉薬 ( ゆうやく )がけ」は、素焼き生地の表面にかけるガラスのコーティングだよ。
やきものを丈夫にしたり、ツヤを出したり、色をつけたりする為のもの。

釉薬はペンキのようなドロッとした液体で、専用の道具を使ったり手で持ってかけるよ。
(HASAMIのロゴマークは釉薬をかけるハサミがモチーフ)

やきものの形や「釉薬」の種類、どんな仕上げにしたいかで「釉薬」のかけかたが違うんだ。

釉薬をかけたやきものを1250〜1300度の高温で焼くことを「ほんがま」って言うよ。

焼く前のマグカップ。

焼いた後のマグカップ。表面がつるつるピカピカになったね。
高温で焼くと釉薬が溶けてガラス質になったからだよ。

やきものの生地もすごく固くなるし、水がしみこまなくなったり、汚れもつきにくくなるんだよ。

本窯で焼いた後のやきものの上に、750〜800度で溶けるやきもの用の絵の具で絵を描く事を「上絵付」って言うよ。

筆で直接描いたり

「 転写 ( てんしゃ )」っていうやきもの用のシールを貼ったり。

カラフルな色やキラキラした色、上絵の具はいろんな色を出せるんだよ。

窯元さんと商社さんそれぞれで、完成したやきものに割れたところや、キズがあったりしないか、ひとつひとつ丁寧にチェックしているよ。

手に持ってる木の棒でやきものをコンコンと叩いて、割れてないか音で確認するんだ。

検査を通った商品は割れないように包まれて商社さん(マルヒロ)から発送。

全国のお店で売られたり、レストランで使われたりするよ。

熊本で採れた石から始まった波佐見焼。

こうしてみんなの食卓まで届けられているんだね!


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