特集

マルヒロの今までとこれから展

2022.09.30 (金)

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長崎県の陶磁器メーカーのマルヒロが10周年記念本『MARUHIRO BOOK 2010-2020, 2021- 』(以下、MARUHIRO BOOK)の刊行を記念し、中目黒happaで2022年10月8日(土) ー10月10日(月)にローンチイベントを行います。
マルヒロが過去10年間に作ったアーカイブと、未発表の新作や試作が並ぶ「マルヒロの今までとこれから」を一同にご覧いただける内容となっております。

日程:2022年10月 8日(土) 14:00-20:00 レセプション:17:00-20:00
      10月 9日(日) 11:00-20:00
      10月10日(月) 11:00-18:00
       ※レセプションは、トークイベント、ギャラリーツアーを予定。

場所:happa 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-30-6

マルヒロが2010年に自社ブランド《HASAMI》と《馬場商店(現・BARBAR)》を立ち上げて、2020年でちょうど10周年を迎えました。
『MARUHIRO BOOK』は10周年を記念し、また自社ブランドを立ち上げてから10年余りに及ぶマルヒロの歩みをまとめたものです。アートディレクションに安田昂弘氏(CEKAI)、編集に桜井祐氏(TISSUE Inc.)を迎え、特殊な装丁の総頁数700頁を越える豪華な本が完成しました。
本の詳細はこちら

MARUHIRO BOOK

本の完成を記念し、中目黒happaでイベントと展示を行います。

「マルヒロの今までとこれから」と題して『MARUHIRO BOOK』の内容に沿ったアーカイブ展と、マルヒロの今後を感じさせる実験的な新作アイテムや新しいプロジェクトを展示いたします。
10年分のマルヒロの焼き物アーカイブが並ぶのは後にも先にもこの展示会のみとなります。貴重な機会をお見逃しなく。

また、未発表の新作や、今回の本に合わせて制作された安田昂弘氏とMARUHIROのコラボアイテム「Stones」を展示いたします。「Stones」は石型の置物で、AGC株式会社の新素材3Dプリンター用セラミックス造形材「BRIGHTORB®」を使用した次世代セラミックスで作られています。

Stones

その他、試行錯誤の末編み出された、様々な技法や絵柄を用いて制作された一点物のインパクトのある絵付けアイテム「mandala limited」、磁器の原料となる天草陶石について深いリサーチを行った上で制作された新作「TRACE」、靴箱型のやきもの「陶箱」、スペースシャトル型の焼き物(伊万里鍋島焼の窯元・畑萬陶苑による絵付け)「蓋物〈シャトル〉」、陶磁器製の「煙管」、そして今回展示会場なっているhappaの運営者であり、マルヒロの私設公園「HIROPPA」のデザイナーであるDDAA との「HIROPPA」1周年を記念したコラボアイテムなどマルヒロの多種多様なテイストを感じることができるラインナップとなっております。

mandala limited

TRACE

マルヒロの『今まで』

有限会社マルヒロは、長崎県波佐見町で400年の歴史を持つ波佐見焼の、食器やインテリア雑貨を企画・販売する陶磁器メーカーです。2010年に現・社長の馬場匡平が、自社ブランドを立ち上げて、2020年にちょうど10年の節目を迎えました。

2008年、デザインを学んだこともなく焼き物にも興味がなかった24歳の匡平は、父親からの申し入れで倒産寸前の家業に戻ります。しかし、そのまま翌年になっていよいよ会社が立ち行かなくなり、会社再建に向けて中川政七商店のコンサルティングを受けることに。コンサルティングを受けた匡平が、最初に手掛けたのが自社ブランド《HASAMI》の立ち上げでした。果たして、《HASAMI》のデビュー作であるSEASON 01シリーズは異例の大ヒットを記録。V字回復を遂げたマルヒロは、その後も波佐見焼メーカーという枠にとどまることなく成長と躍進を続け、2021年には私設公園HIROPPAをオープンするまでになりました。

「MARUHIRO BOOK」 について
本書は、匡平が2010年に《HASAMI》と《馬場商店(現・BARBAR)》を立ち上げて以降、10年余りに及ぶマルヒロの歩みをまとめたものです。その内容は、マルヒロの手掛けたアイテムやプロジェクトのアーカイブ写真集「BOOK01: Product and Artist Collaboration」と、マルヒロにまつわる用語を集めた事典「BOOK02: Encyclopedia of MARUHIRO」という大きく二つのパートで構成されています。

BOOK1(左) BOOK2(右)

マルヒロの手掛けたアイテムやプロジェクトのアーカイブ写真集(撮影 山田薫他)

マルヒロにまつわる用語を集めた事典

BOOK 01とBOOK 02を照らし合わせながら読むことができる。

マルヒロの『これから』

マルヒロは「異文化を波佐見に」をテーマにこれまで活動してきましたが、近年様々な背景を持つ社員が増えたことや、多くの友人・知人が増えたことにより「多文化を波佐見に」という考えにたどりつきました。
今回は大きく4つの異なるテーマでの新作をお見せしていきます。

/卦蚕僉新素材
AGC株式会社の新素材3Dプリンター用セラミックス造形材「BRIGHTORB®」を使用した次世代セラミックスを始めとした近未来的な焼き物の制作

△發里鼎りの原点回帰
効率化や単価の安さを特徴とする量産の町波佐見で、一点物や時間の要する手作業、個体差について探求したものづくり

資源を見つめ直す
貴重な資源について深いリサーチを行い制作されたアイテム

っκ質

/卦蚕僉新素材

【Stones】

Stonesは、マルヒロと安田氏によるコラボアイテム。近年、安田氏の制作するモチーフとして象徴的でもある石が積まれた形状のデザインになっております。中心から真っ二つに分かれる構造になっており、そのままオブジェとして使用する他、MARUHIROBOOKを挟んでディスプレイすることができます。

素材にはAGC株式会社の新素材3Dプリンター用セラミックス造形材「BRIGHTORB®」を使用した次世代セラミックスを使用しました。

通常、焼き物は石膏型を使用し生地成形を行いますが、「BRIGHTORB®」は3Dプリンターから生地が出力されるため、石膏型を制作する作業や、生地成形の工程における手間が省け、また、形状の自由度も上がります。
職人の高齢化や石膏型の廃棄問題など、焼物業界が抱える課題の糸口になるかもしれません。

今回の「Stones」の大きな特徴はなんと言っても重量。中までぎっしり生地が詰まっており、この1つのアイテムの重量は3kg近くあり、その重量感は本物の石のようです。
通常の焼物では焼成の際に生地が爆発してしまうのを防ぐため、このような形状の立体物は必ず中が空洞になっております。そのため、このような構造は通常の焼物の制作工程では不可能なのです。

また、「BRIGHTORB®」は吸水力が非常に高いため、釉薬の表情も通常の焼物とは異なるため、とても不思議な表情をしています。

昨年の冬と今年の初夏の二度に渡り、安田氏が波佐見を訪れ、波佐見町の光春窯でマルヒロスタッフと制作に臨みました。全て安田氏が制作した一点もの。形状は2パターンあり計7つのスペシャルな限定品で、購入も可能になる予定です。

△發里鼎りの原点回帰

【mandala limited】

マルヒロは波佐見焼の商社のため、通常焼物の企画やデザインを行い、生産は各工程の職人に行ってもらうため、自らが制作に携わることは基本的にありません(波佐見焼は分業の町のため工程ごとに職人が異なる)。mandala limitedでは、新しい試みとしてマルヒロの社員・荒木里奈が下絵付けの工程に携わりました。下絵付けとは、素焼きした焼物の生地に下絵具と呼ばれる焼物用の絵具で絵付を行うことです。その後釉薬を掛け本焼成し、完成します。

効率化を求め、日常雑器の大量生産を得意とする産地の中で、特別な一点ものを作ることは、新しい取り組みですが、ものづくりにおける原点回帰とも捉えることもできます。

職人の高齢化により、ものを作る人が今後不足していく中で、今までのような量や価格でのものづくりはいずれ難しくなるでしょう。
また、限られた資源を考えると、ものを作る量はよく考えなければなりません。
 
そして、産地で働く者の特権として、身近にある素材に触れ手を動かすことを経験したことにより、その喜びや楽しさをダイレクトに表現したいと思うようにもなりました。

mandala limitedは、ものづくりの原点回帰として1つ1つ丁寧に作られたアイテムです。当日は30種類近くのアイテムを展示予定です。購入も可能です。

資源を見つめ直す

【TRACE】

10/12(水)発売開始に先駆け、やきものの資源を辿り生まれた器「TRACE」を数量限定で先行販売いたします。

やきものの素材には様々な種類の天然資源が使用されています。
それぞれの資源が残していった跡を辿り、インスピレーションを受け「TRACE(トレース)」は生まれました。

縞石

脱鉄スラッジ

本シリーズでは陶石の中で等級が低いとされ食器にはあまり使用されない「縞石(しまいし)」・やきものの生産の過程で生まれ、産業廃棄物として捨てられる「脱鉄(だってつ)スラッジ」の2種類の素材を利用。

縞石は鉄分を多く含む石で、“特上”の石(鉄分を含まない真っ白な陶石)と比べると石のランクが低く扱いにくいゆえ、肥前地区ではあまり使用されてきませんでした(※)。(※昔から献上品を生産していた有田焼・三川内焼では真っ白なやきものが求められてきました。陶石はランク分けされており、最高ランクの“特上”は現在、天然物で1〜2%しか取れないといわれています。)

TRACEをつくるなかで縞石の歴史を辿り、縞石の力強さ、そして太古の昔を感じさせる、縞石が持つ時間の流れに魅力を感じ、「TRACE/ブラック・ホワイト」の生地に縞石を使うことにしました。

Black

White

ブラックのボウルの内側には油滴天目のつややかな黒の釉薬をあしらい、外側は縞石の風合いを残すために釉薬をかけずに焼き締めました。縞石のざらりとした手触りは素朴な温かみを感じさせます。

ホワイトのボウルには「脱鉄スラッジ」と呼ばれる、通常は産業廃棄物として捨てられる素材を釉薬の中に混ぜ再利用しました。より白い石を得るために鉄分の多い石を塩酸につけ、鉄分を除去する「脱鉄」という工程で出てくる鉄の部分を「脱鉄スラッジ」と呼びます。

今回、制作をお願いした波佐見町の光春窯では、脱鉄スラッジに特殊な処理をして塩酸を完全に落としてから焼き物の素材に使用しています。

「TRACE」には「跡、痕跡」という意味があります。熊本県天草の山から採掘された縞石の断面には、幾筋もの縞模様を見ることができます。この模様は1400万年前に陶石が熱水活動で酸性の地下水に浸されて、陶石の中の鉄分が変色し縞模様として現れたともいわれています(諸説あり)。磁器の原料である天草陶石の深いリサーチによって生まれた、太古の昔を現代に感じることができるシリーズです。

っκ質

【ひまわり畑】

マルヒロはここ数年ひまわり畑作りに挑戦しています。
詳しくは、展示会にお越しの上、マルヒロ代表・馬場匡平にこの新しい取り組みについて聞いてみてください。

【安田昂弘】

1985年生まれ。獅子座。名古屋市出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、2010年に株式会社ドラフトに入社。グラフィックデザインから映像、プロダクトデザイン、デジタルクリエイションまで、多岐にわたるプロジェクトに参加し、2015年同社より独立。クリエイティブアソシエーション「CEKAI」に所属し、アートディレクション、グラフィックデザインだけでなく、デジタル領域のデザインやプロダクト、映像監督、空間ディレクションなど幅広い分野でクリエイションをしている。国内外でのグラフィック作品の展示も積極的に行い、2019年には本人初となる作品集「GASBOOK36 Takahiro Yasuda」を発刊。人間のフィジカル的な視点とグラフィックのあり方を考察し多角的な活動を展開している。身長は189.5cm
https://yasudatakahiro.com/

【桜井祐】

TISSUE Inc. 共同設立者/編集者。1983年兵庫県生まれ。2008年大阪外国語大学大学院言語文化研究科言語社会専攻(博士前期課程)修了。2017年、東京と九州の2拠点でクリエイティブディレクションを中心に行うTISSUE Inc. / 出版レーベルTISSUE PAPERSを設立。紙・Web・空間など、幅広い領域において企画・編集・ディレクションを行う。主な仕事に世田谷文学館「植草甚一スクラップ・ブック展」展示・イベントディレクション、資生堂『花椿』編集アドバイザリー、長岡市「縄文オープンソースプロジェクト」ディレクション、大阪中之島美術館「Webサイト」編集ディレクションなど。近著に『新世代エディターズファイル 越境する編集ーデジタルからコミュニティ、行政まで』(2021年、BNN)がある。大阪芸術大学非常勤講師。
https://tissuepapers.stores.jp/

【元木大輔】

建築家。DDAA / DDAA LAB代表。CEKAI所属。Mistletoe Community。シェアスペースhappa運営。武蔵野美術大学、東京芸術大学非常勤講師。1981年埼玉県生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業後、スキーマ建築計画勤務。2010年、建築、都市、ランドスケープ、インテリア、プロダクト、ブランディング、コンセプトメイクあるいはそれらの多分野にまたがるプロジェクトを建築的な思考を軸に活動するデザインスタジオDDAA設立。2019年、コレクティブ・インパクト・コミュニテイーを標榜し、スタートアップの支援を行うMistletoeと共に、実験的なデザインとリサーチのための組織DDAA LABを設立。2021年10月にマルヒロが波佐見町にオープンした公園「HIROPPA」と、マルヒロの多目的空間「OUCHI」の設計、デザインを担当し、「OUCHI」のデザインはDesign Anthology Awards 2021 Commercial Space部門、2021年日本空間デザイン賞オフィス空間部門の金賞を受賞。著書に『工夫の連続:ストレンジDIYマニュアル』(晶文社)、「Hackabilitiy of the Stool スツールの改変可能性」(建築の建築)がある。
https://www.dskmtg.com/

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